Everyday Writes Kimagure Story(エブリディライトきまぐれストーリー)


書きたい物の、書きたいシーンだけ書きなぐれたら…
って事で、前置き、人物設定、状況説明etcetc…
嫌いな物ほったらかして、書きたいもんを書きたいように書いてみます。


と思ったら。
いつのまにか、ココは戦場になっていた。




VS





  7/1  こちら秋茄子骨董店−その1−

  6/29  今日のバイトは遅番〜
  6/28  白銀の翼
  6/27  −EDEN−prologue:Seven years after
  6/26  わあ、遊んでたらこんな時間
  6/25  深遠の光
  6/24  神の宝珠−奇石−
  6/23  神の剣
  6/22  光速の剣閃
  6/21  紅色の望み

  6/18  三日月の夜
  6/17  無題
  6/16  夢色の風
  6/15  昼休み
  6/14  紅色の望み -夜鳥-
  6/13  Bule moon -本当のはじまり-
  6/12  Pure snow
  6/11  本当にダメだなって思う程のスランプって久しぶり
  6/10  しかしMPが足りない!
  6/9  なんか駄目やね
  6/8  サボリやすくなったものだ
  6/7  序章
  6/6  今度こそ(笑)ダメデス
  6/5  旅立ち
  6/4  月影
  6/3  −夜月へ、好きな絵描いてくださいな(笑)−
  6/2  人形劇−幕開けは月明かりの中で−
  6/1  紅色の望み −湯気−

  5/31  白の宝珠
  5/30  紅色の望み −若葉−
  5/29  紅色の望み −真紅−
  5/28  紅色の望み −深遠−
  5/27  紅色の望み −紅葉−
  5/26  蒼星の夜
  5/25  旅路の果て
  5/24  太陽の下で
  5/23  時と記憶と蒼空と海と
  5/22  初仕事
  5/21  Quartet
  5/20  Disappearing moon
  5/19  時間無いので更新できまへん。
  5/18  東方見聞録
  5/17  ]]T-THE WORLD-
  5/16  緋色の月
  5/15  麻痺
  5/14  -箱庭-
  5/13  ネタの闇鍋(隙間埋めpart2)

  5/6  次回予告っ!(修羅場開始)
  5/5  ダンデライオン
  5/4  楽園
  5/3  Fast Fantasy
  5/2  Bloody Tears
  5/1  If -Interlude-
  4/30 明日の色
  4/29 世紀末救世主『裸王』
  4/28 1月28日
  4/27 共鳴
  4/26 隙間埋め(ネタ系テキスト)
  4/25 更新失敗
  4/24 絆色〜深夜の密会〜
  4/23 満月夜
  4/22 Summer shadow
  4/21 紅の宝珠
  4/20 The rotating season
  4/19 真昼の月
  4/18 流星夜
  4/17 桜色


ルール
・一日に一つ、夜月星は絵を、三根崎は「文章」を書きます。
・どちらかが更新しなかった場合、−5ポイント
・両方更新しなかった場合、両方、−1ポイント
・二日前に「更新無理」と宣言した場合、ノーカウントです。
 しかし、ターンは入れ替わります。
・一回更新するたびに+1ポイント、上限25ポイントです
・双方持ち点25ポイントで始めます。

ターン性廃止
純粋に毎日更新できているかを競います。


・コミケとレヴォ前は「修羅場モード」発動、休戦!

・持ちポイント0で罰ゲームっ!

三根崎的自分ルール  ※夜月星には関係ありません。
  後でまとめて読める位のクオリティを目指す
  五日更新できなかったら罰ゲーム
       罰ゲーム案はコチラへ(みさき禁止(を))



ポイント差:12
三根崎5点・夜月17点



7/1       こちら秋茄子骨董店−その1−
最寄駅から徒歩7分。
近くは無いし、遠いというほどでもない、微妙過ぎる立地条件。
そんな場所に、そのお店はありました。


「はあ…世知辛い世の中だねえ」

男は誰にともなく呟くと、手にした新聞を折り畳んだ。
折り畳んだ裏側のテレビ欄へを眺めながら、面倒くさそうに手元を動かす。
退屈が見て取れる、そんな眼差し。
年は二十台後半だろうか?肩口まで伸びた髪が、着ている和服に妙に合う、そんな男だ。
男はテレビのチャンネルがワイドショーを映し出したのを確認すると、リモコンと新聞をそこらへ投げる。

「店長〜、新聞はともかく、リモコンまでそこらに投げないでくださいよ」
「…ん、ああ…悪い悪い」

男は声の主に手を上げて詫びると、気だるそうに頭を掻きながら、渋々とリモコンを拾い上げた。
そのままつけたばかりのテレビを消すと、いかにも暇、と言った態度で机へと凭れ掛かる。

「なあ陽子君、面白い話…」
「ありません」
「…早いよ、答えが」
「そりゃあ、同じ質問ばっかりされてますから…暇でしたら手伝ってくださいよ、掃除」
「…あー、微妙に忙しいんだった」
「その返事もさっきと同じです!」

そう怒鳴りつけると、陽子(ようこ)と呼ばれた女は呆れた様に溜息を吐いた
元から期待していなかったのか、ずり落ちて来た袖口を肘まで上げると、商品棚へと視線を戻す。
古びた壷、黄ばんだ巻物、もはや何かわからない物。
それら「商品」を眺めて、陽子はもう一度溜息を吐いた。

「店長…いくら掃除しても、売れないかもしれないって事に気がついちゃいました」
「んー、否定はしない」
「…もう掃除止めちゃっていいですか?」
「ん、いいよ〜、どうせ見た目気にする客なんて来ないし」

そう言って、男は背筋を伸ばした。
深呼吸を途中から欠伸へ変えて、両肩を軽く前後に回す。

「…暇だねぇ」

男が本日何度目になるかわからない呟きをしたその時。

「ちわーっす」

間延びした声が、店内に響いたのであった。

6/29       今日のバイトは遅番ー


無理w


私信:あなたのせいじゃありません、あなたとは別に話し掛けてきた人がいるんです(笑)
6/28      白銀の翼
「愚か者がっ!そんなもので勝てると思っているのか!?」

風が吹いた。
怒号を乗せた風が少年に吹き付け、その体を大地へと叩きつける。

「くっ!!」
「言っただろう!正義なんて言葉を振りかざしているうちは、決して俺には勝てぬとっ!」

そう、少年に叫びながら、男はゆっくりと大地へ降り立つ。
その背には6対の輝く翼。
少年は男が舞い降りると同時に、立ち上がり、剣を構えた。
そのまま、既に目前へと迫り来る男へ振り下ろす。
男はそれを受け流すと、少年に拳を叩き込んだ。

「何が正義だっ!何が護るだっ!」

吹き飛ぶ少年の胸倉を掴み、そのまま脇を蹴り上げる。
苦痛に歪む顔に膝を入れ、もう一度拳を叩き込む。
まるで何かに憑かれたかの様に、男は少年を殴り続けた。
やがて、少年から抵抗がなくなると、投げの要領で地面へ叩きつける、瞬間的に印を組んだ。
組んだ手で異時空から長槍を取り出すと、少年の喉下へ当てる。

「そんな言葉が何になるっ!?美酒の様に人の心を酔わせっ!挙句は守りきれず見捨て去りっ!
…酔いが覚めた後には、何も残らないっ!」

少年の喉下に、薄っすらと血が滲む。
男の手は震えていた。
力を込めすぎ、自らの手から出血する事も構わず、男は真っ直ぐに槍を構える。

「俺は…俺はっ、全てを失ったっ!奴のせいとは思わんっ!全ては奴を信じた俺自身の責任っ!」

「だからこそ…貴様の様に、戯言を振り回す人間は許さんっ!」

「俺は……全てを無くしてやる…憎しみも、正義も無い世界…争いを、全て消し去ってやる」

男は怒っていた。
誰に、とも無く、ただ、己に対して怒りを感じていた。
それは即ち、世界への怒りと化し、この世界を変えよう、という考えへ繋がる。

「…不可能…だね」

ゆっくりと、少年は目を開けた。

「…なんだと」

男の槍を掴み、喉元からはずす。
腫れ上がった片目で睨みながら、少年はゆっくりと口を開いた。

「そんな事が…できるとでも、思ってるのかよ……」

瞬間、少年の鳩尾に蹴りが入る。

「がっ!!」

少年は顔をしかめながらも、男の足を握りしめた。
顔をしかめながら、男はなおも力を込める。

「可能だっ!俺が…俺が全てをなくして」
「それが不可能だって言ってるんだよっ!」

光が弾けた。
手元の長槍を落としながら、男は中空へ弾かれた。

「お前が…お前が、憎しみを持っている人間を消し去ったとして、その人間の親族は何をおもう?」

少年は長槍が大地につく前のソレを握り締めると、男を睨み上げた。
弾けた光が少年に集まり、白銀の翼を象り、霧散する。
男が体制を立て直すと同時に、少年は空へと羽ばたいていた。

「憎しみへの憎しみは…さらなる憎しみしか生まないに決まってるじゃねえか」

男は腰の剣を抜き放ち、少年へと振りかぶる。
それを槍で受け止めながら、少年は男を睨みつけた。

「貴様に…貴様に、何がわかるっ!」

男は叫びながら両腕に力を込め、少年を弾き飛ばす。
少年は一つ宙返りをすると、加速をつけて男へ飛んだ。
金属音が世界に広がり、それを掻き消す怒号が響く。
ただ、銀色の線が世界に疾り、ぶつかり、弾けた。

「なんでてめえにはわからねえんだよっ!!」

一際大きい金属音。
それは…男の、敗北を意味していた。
少年の左手が光り、暗闇をも照らすが如く輝く。

「世界を救えともっ!憎しみを無くせともいわねえっ!」

「ただ…目に止まる人間だけでも守れれば、それでいいって事に…なんで気がつかねえんだよっ!!」

瞬間、時が止まる。
胸に突き刺さる拳を見つめながら、男はふっと、過去の自分を思い返した。

…そして、気がつく。

成長というのは、残酷な物だな、と…。

6/27      −EDEN−prologue:Seven years after

物語が始まったのは、いつだろう。
ふっと、そんな事を考えて、まだ始まってないのかもな、と思い直して。
男は、グラスを傾けた。
口内に広がる香りを楽しみながら、男はじっと眼下を眺める。
光る物の存在しない、無機質な物の塊。
月明かりが僅かに照らした輪郭だけ、辛うじて掴める、そんな街並み。
それを眺めて自嘲的に微笑むと、男は口内のワインを嚥下した。

「七年、か…」

夜空を見上げる。
忘れかけてた事柄を思い出す様に、まるで星に語りかける様に、男は淡々と語り始める。

「…あの時は、カクテルを好んで飲んでたな…若かったな、俺も、お前も…」

男はそう呟いて、空になったグラスへワインを注ぐ。
赤い液体を湛えるグラス。
それを夜空に向かって掲げると、ちんっ、と小さく音を立てた。

「…月夜と、七年前のお前の笑顔に…」

そう言って、グラスに口をつける。
目前のガラス窓に手を触れながら、男は一瞬俯いた。

物語がはじまったのは、いつの事だろう。
俺とお前が出会った時か。
七年前の、あの時か。
それとも…。

そこまで考えて、男は顔を上げた。
一瞬、悲しげに眼下を眺め…それ以上に険しい眼差しで、空の彼方をじっと見つめる。
…舞台は整った。
物語を…凍りついた物語を、再び動かす時は、今。

「…有栖川……約束を、果たす時が来たようだ」

男はワインを飲み干すと、ゆっくりと夜空を見上げた。

満月と見間違う程に満ちた月が浮かぶ夜。
虫の声すら聞こえない、静かで寂しい闇の中。

彼の瞳だけが…月を映して、輝いた。


超極秘警察機構『小二科』
−Fillname:EDEN−

―そこにある全てが真実で虚像
全てを信じて生きるも、全てを疑って生きるも正。
ただ、願わくば…
あなたが、自らを信じて生きますように―


6/26      わあ、遊んでたらバイトの時間

…しくしく

6/25      深遠の光

創世と共に世界に舞い降りた、一人の堕天。
彼が齎したのは、三つの光だった。

破壊と再生を司る、桃色の光。
平穏と騒乱を司る、白銀の光。

そして…絶望と、虚無を司る…漆黒の…それでも、光と呼べる輝き。

刹那、何も無い世界に、色が広がる。
悪が、正義が、秩序が、混沌が、
全てが世界に溢れ、飽和した悪が正義を喰らう。

創世の時。
世界が動き出したと伝わるその日から、幾千の時が流れ…。


矛盾、という言葉がある。
突けぬ物は無い矛と、破れる物は無い、という盾を売る商人に、その矛で盾を突いてくれ、と言ったという、
そんな話から産まれた言葉だ。
まさしく、今の状況を的確に刺す言葉だろう。
そこには…何も無い「はず」だった。
無限に広がる闇、果て無き深遠。
それでも、完全な無じゃないそこ。

…そこには、虚無があった。

無の中に存在する、さらに深遠たる無。
ソレは生きていた。
闇の中を震えながら、微弱な鼓動を繰り返し、確実に「生」きていた。
意思があるのだろうか?
震えながら、それは前を見据えていた。
前後不覚な闇の中、方角が存在するとは思えないが、それでもそれは前を見ている、そう思える、そんな目線。
ふっと、闇が揺らぐ。
闇の中の闇へ、漆黒が溶け込み、呑まれ…。
それは、再び闇の奥へと…。


「ふうっ…」
男は溜息を吐きながら、身の丈を超える程の巨大な剣を大地に刺した。
天気は快晴、風は頗る心地よい。
男は気持ちよさそうに微笑しながら、街道沿いに視線を這わす。
微かに見える城壁を眺めて、その距離を見て項垂れた。
「…ったく、かったるいな…」
誰にともなく呟きながら、男は荷物袋を広げた。
古ぼけ、黄ばんだ地図を取り出し、光に透かしてそれを眺める。
男は左隅の、現在自分がいる国を見、そのまま目線を印へと動かす。
世界地図の中心からやや右にそれた場所に打たれた×印。
地図上での距離を確認し、男はまた、溜息を吐いた。
「…宝ねぇ…」
一言、そう呟く。
溜息を吐いた後、一瞬前の呟きを思い出し、あたりを見渡した。
周りに人がいない事を確認して、男はもう一度溜息を吐いた。
「……んなもんあるのかよ…」
男は地図を袋にしまうと、その場に寝転がった。
視界の端から流れる雲を見つめて、ふっと数日前を思い出す。

始まりは祖母の一言だった。
「古来から伝わる宝の地図、じゃ…そいつを取ってくれば一生遊んで暮らせるぞ」
…信用できるわけがない。
男は半信半疑のまま、祖母の話に耳を向けた。
別に金銭を求めてるわけではなかった。
日々、適当に過ごしては、適当に略奪し、強奪し獲た金と、それで生きてる自分。
それが当たり前になっただけで、決して好きでも、嫌いでもない。
必要だから求めるのであって、必要以上を求める気は無かったのだ。

何より、男は誰より自堕落で、適当だった。

「わかったら取って来い」
祖母の話は短かった。
「はあ!?行かないって、俺はこのままでいーの」
「たわけ、いくら家が泥棒の家系だからってね、そうそう盗みや殺しやられたらたまらないんだよ!足がつくだろ!」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと考えてるって」
「どあほっ!足がつきかけてるからいっとるんじゃっ!とっとと行かんかい!」
そう言ってからの祖母は素早かった。
あっという間に旅支度を整えると、その日の間に男を追い出し、自警団へ通報する。
当然、男は町にはいられない。
本来なら自分が近寄れないはずの自警団だが、そのあたりのやり取りは恐ろしく上手い祖母だったな。
そこまで考えて、男は頭を抱えた。

「…ったく…あの婆…」

男はそう吐き捨てると、立てかけておいた剣を持ち上げた。
それをそのまま肩に担ぐと、街道に沿って街へと向かう。

「宝を見つけたって、一銭もやらねえからなっ!」

人に聞かれる事も気にせず、そう叫ぶと、男は再び、周囲を見回した。
誰もいない事を確認すると、本日何度目とも知れぬ溜息を吐いた。

6/24      神の宝珠−奇石−

世界が霞む。
白く染まった世界が、ゆっくりと輪郭を取り戻し、静寂が破れる。
全てが終わったそこは、普段と変わらない古城跡。
昔と変わらない姿を眺めながら、ああ、昔ここで遊んだな、なんて事を考えた。
…ほんの、7年か八年前のことなのに、随分と昔の事の様に感じる物だ。

『…終わったようだな』
剣が呟く。
「…終わり、だ」
俺は一言吐き捨てて、本当に終わった事を実感した。
頭をかきながら、投げ捨てた荷物袋を担ぎ上げる。
『…これから、どうするんだ?』
「ん?……そうだな、宝珠集めで体もボロボロだし…ゆっくり休むかな…」
そんな事を呟きながら、俺は胸元のペンダントを手に取った。
旅の最初…俺の無事を祈って、返却を約束させて、彼女が渡してくれた…
今となっては、たった一つの彼女の形見。

「…後、あいつの墓も作らないと…」
両目を細める。
…涙は、もう枯れ果てたらしく、零れなかった。
『…宝珠集め、か…守護神達は強かったか?』
「あぁ、タチ悪い位強かった」
『そうか…なぁ、勇者よ』
「そんな呼び方するな…惚れた女一人守れない勇者がいてたまるかよ」
『…すまん…一つ、聞いていいか?』
「…なんだよ?」
『…我らの事…宝珠だと、宝だと思うか?』
「……」

伝承によれば、ソレは八つに輝く宝。
集める物に神の力を、神の奇跡を授ける宝珠。
守護する魔人は個々の能力が神に勝り。
獲られる力はそれにも勝る。
そんな伝承の残る…八つの、宝玉。

「……」
…だけど、俺は…
「…いまいち、思えないな」
宝とは…どうしても、思えない。
『…だろうな』
剣は呟く。
なんとなく、自嘲的に笑っているような、そんな声だった。
『我々は…昔は、宝珠などという名では呼ばれていなかったのだよ…幾千の時を越え、宝と呼ばれるように変わったが…
昔は、別の名で呼ばれていた』
「…別の名?」
『危石、じゃ…禍々しい石、そんな意味を込めて、そう呼ばれたよ』
「…結構ぴったりなんじゃないか?」
『言ってくれるな』
「経験者は語るのさ」
俺は微笑しながら、剣を鞘に収めた。
鞘に収まる瞬間、眩く光輝いて、ゆっくりと消える。

ふっと、静寂が破れた。

『それと、もう一つ』

微かに鼓膜を揺らした、淡い震動の様な音。

『主は…運命も切り裂けないで何が神の剣と言ってくれだが…あれは当然だ』

音のしたほうを振り返ると…そこには「昔」が広がっていた。

『何せ、私は魔王を切り裂くために作られた剣、他の物を斬る用になど作られておらぬからな』

風が吹いた。
靡く髪、大き目の目、華奢な体。
見慣れた…大好きな、微笑み。

『その様が不思議に見えたのか、いつからか…我らはこう、呼ばれたよ』


『奇跡を起こす石…奇石、とな』


彼女は笑っていた。
何が可笑しいのだろう、と考えて…可笑しいのが自分の顔だと気づく。

…なんだよ、枯れ果ててなんか、いないじゃないか。

そんな事を考えながら、俺は情けなくも、また、惚れた女の目の前で涙を流したのだ。



『それで…願いを叶えないと我らの役目が終わらないんだが…おい、聞いてるか?』


−奇跡の宝珠− fin
6/23      神の剣

剣を構える。
ずっしりと、両腕にかかる重み。
重たいな。
そう思った。
それは、俺の腕に乗せるには、あまりにも重すぎた。
神の剣。
それを持つ者に課せられる宿命。
全てが、何よりも重たかった。

「なぁ…これは、運命だったのか?」

声が漏れる。
相手には、もう届かない事がわかっているのに…それでも、俺は彼女に話し掛けた。

「こうなる事は…最初から、決まっていたのか?運命は変えられなかったのかよ!?」

答えはない。
俺は剣の重みに、腰を曲げそうになりながら、それでもじっと前を見た。

「…何が神の剣だよな…てめぇ自身の運命すら切り開けないで…何が神の剣だよっ!」

俺は叫びながら、剣を大地に突き刺した。
世界中に届いたのではないかと思うほどの震動が広がり、全てが彼女の前で消える。
そんな情景を、彼女はただ眺めていた。
光の灯らない、感情の無い瞳。
見たことの無い表情、それが…彼女の、本当の姿。

「楽しかったよ…お前と生きていた人生が、本当に楽しかった…」

両目を細める。
彼女の顔がぼやけて、昔の彼女が見えた気がして…。
嬉しくて…悲しかった。

今までの人生全て、彼女と共に、彼女のタメに生きてきた。
魔術学校に行くと彼女が言った時も、追いかけて進学する事を迷わなかった。
彼女にわからない所を聞かれるたび、俺は必死で勉強した。
いつのまにか、世界一と称される魔術師になっていた。
そんな称号、嬉しくもなんとも無かったけれど…ただ、彼女に凄いと言われた時は…本当に、嬉しいと思った。
幸せだった。
それは長くは続かなかったけど…本当に、幸せな時間だった。

彼女が、倒れた。
俺は看病をしながら、あらゆる手段を使い、癒す方法を調べ尽くした。
彼女の病は奇病だった。
治す方法の無い病…それを治す方法。

別の手段を使えばいい。

発想の転換…一つの文献が、俺にそんな事を思わせた。
『八つ集める事で、神の力を得る事の可能な宝珠。
あるものは王となり、ある者は奇跡を起こした。』
その文献には、そんな、不思議な宝珠の伝承が記されていた。
国立図書館の閲覧禁止図書…信憑性は高いが、確実ではないそれ。
しかし、それに頼るしか、俺に方法は残されていなかった。

俺は旅立った。
合成した魔法剣と、古代魔法。
その二つだけでの、宝珠を守護する魔人との戦い。
無数の傷を代償に、俺は彼らに勝利した。

集めた宝珠が交わり、一振りの剣へと変化する。
その瞬間を眺めながら、俺は彼女の事を思っていた。
きっと、彼女の病も治る。
そう、信じていた。

剣は語った。
自らの使命…魔王の末裔を封じることを、その代償に、持ち主へ望みの奇跡を与える事を
そして…神の剣を名乗る、宝珠から産まれた剣は…俺に、知識を分け与えた。

魔王の魂を受け継ぐ物の宿命…治る事のない、不治の病の事。
その病から、魔王の末裔を救う事、それが…剣に取っての「封じる」と言う事であること。
病から逃れる術は、死しか残されていない事。


「…救えなかった…お前を…救え無かったよ」

いつのまにか、涙が溢れていた。
それを拭う事すら忘れ、じっと、彼女の顔を見つめる。
彼女は俺を眺めながら、静かに指を鳴らした。
風が吹いた。
頬が切れ、鮮血が溢れ出す感触。

「…戦えるわけ…無いだろう」

頭を振る。
脳に響く剣の声を掻き消すように、消えない声を聞かないように。
それでも、現実は消えてはくれない。
剣の声は脳に響き。
彼女は、表情の無い顔で俺を見つめ…。
これが、現実なんだ。
そう…思ってしまった。

「うあああああああああああああああああ!!!」

剣を振り下ろす。
剣閃が風を切り、世界に静寂が舞い戻る。
そのまま、もう一度剣を振るうと、世界の色が変化した。
振るたびに、切っ先から光が弾け飛ぶ。
俺はただ、剣を振りつづけた。
土、風、炎、光、闇、雷、氷、無。
それぞれの宝珠を守護してきた物達の技が、切っ先から世界へと広がる。
それは星を描く様に陣を組み、彼女を取り囲んだ。
光が広がる。
彼女の体が、それの中に溶け始め…剣が、七色の光りに包まれた。
…トドメを刺せ、と言う事か。
俺は虚ろな目で、もう一度彼女を見つめた。
その顔には苦痛も、苦悶も見えず…

昔と変わらない、微笑みが垣間見えた。

「……ずっと…ずっとさ、言わなかったけど…」

両目を閉じる。
今までの思い出を、心の底から解き放ちながら…。

「…俺、さ……お前の事…」

光りが、弾ける。



6/22      光速の剣閃

俺は刀を鞘に収めると、じっと前を見据えた。
『ソレ』は相変わらず左右への「光速」移動を続けていた。
無論、見えるはずはない。
ただ、感じる気配と、それを「線」として感じるという不可思議な事態から、『ソレ』が光速で動いていると推測できる。
俺はゆっくりと両目を閉じると、その線へと意識を集中させる。
例えるなら、絵筆を走らているそれの様。
一定に感じられるその色にも、今まさに塗り重ねられるそれを感じる。
『ソレ』がそこに存在しているのだろう。

両目を開ける。
目を閉じる事で気配を感じることが出来る、という人間がいるが。
この場合気配を鮮明に感じ過ぎてしまうと、感覚を恐怖に支配されてしまう。
相手の動きは、それほどまでに素早い。
少しでも体が触れでもすれば、即座に全身が吹き飛ぶ。
知識と、先ほどみた死体からそれがわかっていた。

生きる方法は、ただ一つ。
神に作られたと伝承される、決して折れない刃。
これで…相手の速度を越えて、切り裂く。
…普通に考えたら不可能な行動だ。
だが…少しばかり、捻くれた考えをしてみよう。
現在、『ソレ』は左右への光速移動を繰り返している。
だが、上下には、前後には、まったく移動をしていない。
…つまりは、そういう事だ。

俺は柄に手を添えた。
先ほどから、一部分だけ気配が「濃い」部分が見える。
恐らく、こちらへ飛び掛ろうと狙っているのだろう。
移動範囲を予測し、その射線ギリギリに足を運ぶ。
半身を逸らし、腰を屈めた。

瞬間、刀を抜き放つ。

一瞬後、後方の地に穴が空いた。
楕円形の、二つの穴。
それが、切り裂かれ、自らの速度を制御できなくなった『ソレ』の跡と確信をしてから、俺はゆっくり刀を納めた。

6/21      紅色の望み

死にたくない。
ずっと…ずっと、そう思っていた。
幾人もの人を殺し、拭いきれない返り血を浴びて
それでも、死にたくないと思いつづけていた。
死が恐ろしかった。
無がどうしようもなく怖かった。
ずっと、死は俺にとって恐怖の象徴だった。

そんな俺に、神は死を与えようとした。

痛みはあった。
身体を襲う激痛は、俺の心を恐怖に染めた。
それは、一瞬の間だけ。
いつのまにか、俺の心は落ち着きを取り戻した。
流れ出る血を抑えながら、ぼんやりと世界を眺める。

そこには、闇以外の色があった。

世界を照らす朧月の金。
照らされて輝く木々の緑。
そして…世界に舞う紅葉の赤。
美しかった。
美しいと、心から思った。
心がそれで埋まって、いつのまにか恐怖は消えていた。

幸運じゃないか。
この世界で死ねるなんて、物凄く幸せじゃないか。

そんな事を思いながら、両目を細める。
視界一面の紅葉。
このまま…眠ってしまいたい。
そう思ったら、涙が溢れた。
今まで殺した者への懺悔か
望みが叶う事へのエゴの涙か
…美しすぎる世界が、俺に涙を流させたのか…。
恐らく、全てだろうな。
俺は涙を拭う事も忘れ、ずっと紅葉を眺めつづけた。
歩み寄る死の足音に、感謝の念すら浮かべながら…

「…泣いて、いるの?」

かけられる声。
そこには…舞い散る紅葉に引けを取らない、美しい少女が立っていた。


それから始まる館での日々。
美しい姉妹に囲まれた、平穏としか形容できない生活。
癒える傷を感じながら、俺は少しだけ残念に思った。
どうせいつ死ぬかわからないなら、あの紅葉の中で死にたかった。
そんな事を思う。
そんな俺の願いを、少女は否定した。
いや…否定されたのは、俺の全ての願い。

少女は、願いを否定する。
願いが叶う事を拒絶する。

見慣れた悪夢の中、垣間見れる紅い悪夢。
広すぎる館に刻まれた、忌まわしい記憶と、鮮血の思い出。
真実に近づく俺に襲い掛かる、微かな、それでも確実な死の香り…。
願いの叶わない館、落葉館。

これは、そんな館で繰り広げられる、赤い…紅色の、願いの物語。


―紅色の願い―


6/18      三日月の夜

月があった。
空に浮かぶ満月と、もう一つ、そこには三日月が輝いていた。
それは舞い散る羽の様に。
まるで、風の様に。
鋭く、光り、輝く。
そんな情景を眺めながら、俺はずっと考えていた。
心が一段落ついた今、その事を踏まえて、ふっ、と思う。
芸術的、と人の動きを称したのは初めてだ。

「グアアアッ!」

断末魔の悲鳴ごと、剣閃が夜を裂いた。
強靭な爪を紙一重で交わし、それごと肩の筋を絶つ。
横に薙いで首をも切り裂き、それと同時に空へと跳んだ。
月が重なる。
次の瞬間、闇が消えた。
眩い光を放ちながら、暗闇を消し去る閃。
全ての音が消え、世界を静寂が包む頃。
世を照らす満足の元、ゆっくりと三日月が揺らめいた。
チンッ、と一音立てて、世界から消え去る…。

「……」

風が拭いた。
靡く髪をかきあげ、ゆっくりと振り向く。
女だった。

「……あ、あなたは…」

男は肩を抑えながら、ゆっくりと立ち上がった。
赤色に染まる左手。
恐怖と痛みとで、両足が目に見えて震えている。

女は答えない。

ただ、男の肩口を眺めていた。
左手に抑えられながらも、抑えきれていないのか絶えず血が流れつづけている。

「…あ、これ…少し痛いけど、大丈夫だよ」

目線に気がついて、男が笑みを浮かべる。
精一杯の強がり。
それが、目に見えて解る、そんな笑顔だった。

「……」

頬に触れる感触。
それが、女の手である事に気がつくまで、一瞬の間が空いた。
暖かい、人の手の平…。
人を越えた力を
…人間とは思えない、美しさを持っている女…。
体温が人のそれである事は、男に取って予想外の事だった。

「…ごめんなさい」

声が響く。
世界に光りが満ち、男の右肩へと集まる。

「……あ」

それが弾けると同時に、痛みも空へ溶けた。
その様を見届けると、女はゆっくりと振り返る。
そのまま中空を眺めると、月を眺めて大地を蹴った。

「……」

月に溶けるように、女は空へと消えていった。
そんな情景を眺めながら、男はゆっくりと手を動かす。

右肩を抑えていた手を、そっと、胸へと…


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